小池:僕はノンカロリーの飲み物に入っている人工甘味料の後味が苦手なんですが、甘味料によって味が変わるものですか。
小泉直也さん:
普段私達が口にしているのは砂糖ですよね。砂糖の主成分はショ糖ですが、私たちが慣れているのは「ショ糖の甘さ」なんです。砂糖以外の人工甘味料や天然甘味料に関しては、甘さの感じ方がそもそも違います。
小池:人工だからというわけではなく、そもそも砂糖以外の甘さに対して違和感を覚えるということでしょうか。
その通りです。ラカントという有名な天然甘味料がありますよね。ラカンカというフルーツから抽出されたものですが、これも砂糖とは違う甘さの感じ方なんです。でも糖ではないので、糖質制限をしている方が代用で使われる方が多いです。
小池:スイーツを作る上では、甘さの感じ方の違いは重要な要素ですよね。
そうなんです。現在、ラカントを使用した低糖質のチーズケーキ作りに取り組んでいるのですが、やはり違和感がある。砂糖で作ったものと比較すると、確かに「甘い」とは感じるんですが甘さの感じ方の違いが違和感に繋がっているんです。今はその改良を試みているところです。
瀬戸:改良していくというのは、砂糖の甘さに近づけるということですか?
あくまで私個人の意見ですが、ラカントは後味に砂糖との違いを感じますので、チーズの割合を増やしたり、低糖質な果物であるイチゴの風味を付けたり、底生地にココアパウダーを入れたりして違和感を抑えようとしています。甘さを感じつつ、風味でカバーできないか試行錯誤中です。
小池:研究のようなプロセスですね。
手順は同じです。世間にどんなものがあって、どんなものが求められているかを把握して、使える材料からどう作ればどんなものができそうか仮説を立てる。そこから試行錯誤しながら自分の中でベストを尽くしていくという点では、プロセスはほぼ研究と同じですよね。
本編では、スイーツを作るのに必要な科学の視点から洋菓子の長期保存に向けた取り組みまで、工学博士のパティシエである小泉さんならではのお話しをたくさん伺うことができました!ぜひお聞きください!