小池:超音波がアルツハイマーや心疾患の治療に効果があると期待されているのはなぜですか。
今城哉裕さん:
原理に関しては未だに研究中ですが、ポイントは2つあります。
1つは、認知症も心疾患も同じ原理で治るという仮説です。いずれも脳や心臓に対して栄養が行き渡らなくなることで病気が発症するのですが、言い換えると血管の元気がなくなってしまうのが原因だと言われています。
瀬戸:なるほど。
2つ目は、超音波を当てると血管がニョキニョキ生えるという観察結果です。私自身も論文を出していて、どうやら確からしいということは分かっています。ですので、超音波を当てると血管が生えて元気になり、脳や心臓に栄養が供給されて症状が良くなるのではと言われています。
小池:血管が生えるメカニズムは、まだ分かっていないということなんですね。
そうなんです。でも考えてみると、自然界に超音波振動という現象はないのに、なぜか細胞たちには超音波を感知するセンサーがもともと備わっているんです。すごく不思議ですよね。
小池:さらに驚くべきことに、超音波が薄毛に効くという研究もあるんですよね。
先ほど申し上げたように、超音波には血管を生やすという機能があります。薄毛の原因の一つに「栄養不足」があるので、超音波によって頭皮の血管を生やすことができれば治るのではないかと言われています。実際、一部の会社もそういったプレスリリースを出していて、薄毛と超音波の関係性は証明されつつあります。
超音波によって引き起こされる現象だけ知ると魔法のようにも感じますが、本編では超音波が細胞に届く仕組みや、服薬治療や外科手術との違いについても語っていただいています。超音波の広すぎる可能性について科学の視点で深掘りしているのでぜひお聴きください!