小池:佐伯さんはサイエンスコミュニケーターとして具体的にはどんな活動をしているんですか?
佐伯恵太さん:
柱になっているのは、「らぶラボきゅ〜」というYouTubeの科学番組です。老若男女問わず楽しめるような科学の番組を目指して作っています。
その番組を見てくださったテレビ業界の方やアカデミアの方から依頼され、科学イベントの司会を依頼されることもあります。サイエンスコミュニケーションという観点から言うと、「司会進行」というよりは「ファシリテーター」とか「モデレーター」というような、間を繋ぐような立ち位置でお仕事をさせていただいています。
あとは科学記事のライティングも行うこともあります。研究内容を面白い切り口で読み物として書くといったことを中心にやっていますね。
瀬戸:多岐にわたる活動をされているんですね。
小池:佐伯さんは大学院でハエの研究をされていたんですよね。一般的にハエって嫌われ者だと思うんですが、そのハエを魅力的にできるという特技があると伺っています。
魅力的にさせるというか、ハエはもともと魅力的なのでそれを伝えるだけなんです。やはり大事なのはコミュニケーションですよね。僕は間をつなぐだけです。
実験でよく使うのはキイロショウジョウバエというハエなんですが、そのハエってトイレとか食卓のゴミ溜めとかにはいなくて、ワイナリーとかにいるんですよ。そこでもお酒を飲んでいるわけではなく、ワインの発酵した部分にいる微生物の酵母を食べている。だから「そもそも嫌われる要素はないんじゃないか」と思っています。
瀬戸:ちょっとおしゃれですね。
そしてもっというと「ハエを好きになってほしい」というよりは、「生き物であれ何であれ、嫌いの解像度を上げてほしい」と思っているんです。例えば、カマキリのカマみたいなものを持っているカマバエというハエがいるんですが、ロボットとかそういう造形物が好きな人はきっとかっこいいと思うだろうし、アシナガバエという足が長くてすごくスタイリッシュなハエもいるんですよ。他にもカラーリングが美しいハエもいるのに、「ハエが嫌い」と一括りにしちゃうと「このハエは嫌いじゃないな」と思う機会をロスしてしまいますよね。
逆に好きなものも解像度を上げることも大切だと思っています。皆さんが好きなお仕事とかでも、「この部分はあんまり好きじゃないかも」という部分が分かってくれば、「好き」により特化していけるんですよね。生物であれ科学であれ、そういう解像度を上げていくことのお手伝いをしたいなと思っています。
瀬戸:好きの解像度を上げることが、物事を極めることにも繋がりますね。
本編では、さらに佐伯さんのサイエンスコミュニケーションに対する考え方や今後の展望についてお話しいただいています。
佐伯さんとのトークをとおして、いつも以上にMCの小池と瀬戸の想いも伝わる回となっております!ぜひお聴きください!