小池:原さん、今回はよろしくお願いします!早速なんですが…原さんはどうしてミミズが好きなんですか?
原直誉さん:
ミミズの好きなところはいっぱいあるんですけど、一言でまとめるならやっぱり「縁の下の力持ち」という点が大きいんじゃないかなと思いますね!
その中でも特に今回は、「ミミズは生態系全体を支えている」という話をしようかなと思っています。
小池:僕は以前、原さんから「ミミズは生態系改変者である」というお話を伺ったことがあるのですが、これはどういう意味なのでしょうか?
生態系改変者というのは、「他の生き物や環境に対して、物理的に何らかの影響を与えるもの」という概念です。
例えばミミズが土や落ち葉の中を移動すると、土がかき混ぜられたり、土の中に空気が取り込まれたりします。
移動の途中に糞をしたりすることも、ミミズの中で乾燥せずに生き延びていた微生物がまた土に戻っていくという、いわばタイムカプセルのような役割があります。
このような、「食べる・食べられる」という関係以外で環境に影響を与えている、という点がミミズの大きな特徴だと私は思います。
小池:僕の家族は農業をやるんですけど、よく「ミミズは大事にせよ」のようなことは言われましたね。土からミミズが出てきたら「土に戻せ!」みたいな。
やっぱり土を豊かにするというのはミミズの大きな役割になるのでしょうか?
農業の話だと、先ほどの「ミミズが土の中を移動する」というのが土をかき混ぜる農業機械に相当しますよね。
あとは例えば、土の中に潜るミミズというのは、移動した後のミミズの通り道に植物が根を張りやすいという点もあります。
ミミズは実は影の農業従事者なんですね。
瀬戸:それを聞くと確かに、縁の下の力持ち感はあるかも!
小池:ここまでミミズのいい面について話してきましたが、逆にミミズに迷惑している場面もあるんですよね。
農業にいいという話をしてきたので、「じゃあいろんなところにミミズを撒けばいいじゃないか」と思ってしまうかもしれませんが、ミミズもいいことばかりというわけではありません。
例えば、栄養が少ない、他の生き物たちが入ってこれないような環境に適応した植物たちにとっては、そうした環境にミミズが入ってくることは、土が豊かになることで他の生き物が入ってきてしまうきっかけとなってしまいます。
そうなると元々その環境にいた、厳しい環境で育つのが得意な生き物は駆逐されてしまうことがあるんですね。
「安易にいろんなところにミミズを持ち込むのはやめた方がいい」と、私は毎回主張しています。
自然環境以外でも、例えばゴルフ場などにも影響はあります。
ゴルフ場の芝生の下は土なので当然ミミズもいるのですが、ミミズが芝生の上に糞をしたり、土の中を移動することによって芝の一部をでこぼこにしちゃうことがあります。そうなると、ゴルフは地面の起伏が重要なのにボールのコースが変わっちゃったりとか、草刈機が糞を巻き込んでしまって駄目になってしまうことが起こります。
ミミズが入ってきたことによってゴルフ場が赤字になってしまうケースもあるみたいですよ。
瀬戸:ミミズって目にする機会はたまーにくらいですけど、確実に影響しているんですね。
人間を含めた生き物に対して、プラスにもマイナスにもいろんな影響を与えているのがミミズという生き物かなと思います。
本編ではさらに原さんのミミズ愛が炸裂しますので、ぜひお聞きください!